不靴の精神

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俺の尊敬する幼なじみは、不靴の精神を持っていた。
男から見ても格好いいその男は、いつでもどんな時でも裸足なのだ。

雨の日も嵐の日も真夏の日も真冬の日も。
熱に焼けるアスファルトの上を、じゅうじゅうと音を立てながら歩くその姿の何と勇ましいことか。
感覚がなくなるほどの寒さの中、雪の中をざくざくと突き進む後ろ姿は映画のワンシーンのようだ。

俺はそんな幼なじみに憧れていつも裸足に挑戦するのだが、如何せん上手くいかない。いつもいつも中途半端なところで諦めてしまうのだ。

俺に不靴の精神はないというのか。困った俺は思いきって幼なじみに相談した。

「どうすればお前のように不靴の精神を持てるようになる!?」

しかし寡黙な幼なじみは、なかなか答えてくれない。
なるほど、男なら己の目で確かめて行動しろということか。

わかったよサダオ!

「わんっ」
その他
公開:19/12/09 23:17

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