マンガの軍隊

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その国の王様は、大のマンガ好きだった。

彼の夢は自分の国を、マンガの中の国に近づけること。そのために、生活の中の“セリフ”を変えよう、と思いついた。

王様はまず、自国の軍隊にその規則を応用した。
軍事行動をする際には、必ずセリフをしゃべる必要がある。
腕を振るう時は「ヤー」と叫ぶこと。相手に向かった時は「決めゼリフ」を語り、万一失敗しても「立ち直り」の言葉を言わなくてはいけない。

彼の“マンガ風軍隊”は、更に徹底していた。
セリフを相手に聞かせるため、飛行機や戦車には外側にスピーカーをつけ、大きな音量で言葉を流す仕組みがついた。

しかしある時、地域紛争が起こり、王様の国はボロボロにやっつけられ、国の領土を奪われてしまった。
軍隊の兵士すべてが、読者に分かりやすいように説明調でしゃべるので、相手にスピーカーで、こちらの作戦を全部、教えてしまったためだった。
その他
公開:19/12/08 15:16

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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