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「…厄年が何だってんだ。厄祓いなんざ嘘くせえ」
手酌の男がからむ。向かいに座る神はふわりと笑った。
『何かと疲れる年頃じゃ。人は疲れると負の気が満ちる。すれば負の現象を引き寄せる。要は一度心身を休め、周りを見渡した後に再び進めという節目じゃ。言わば人生道路のSAじゃな』
「…妙に具体的な神さんだな。難しいこたあいいや。おう、ひとつどうだい」
『ほ、灘の生一本。では有難く…』

男が目を覚ました。時計を見るといつもより随分早い時刻だった。
「けっ、妙な夢のせいで…」
だが何となくその夢が気になり、男は普段より少し早いバスに乗って近くの神社へ寄ってみた。早朝の神社は清々しく、信仰心など欠片もない男でも何やら気分が良かった。
手を合わせる男の後ろで神様が微笑む。
『昨晩は馳走になったのう…』

——いつもの時刻。バス停に居眠り運転の車が突っ込んだ。毎朝男が立つ場所は…見事にぐしゃぐしゃだった。
その他
公開:19/12/08 12:42
更新:19/12/11 11:04
節目 早起きは三文の徳

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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