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マレーバクを見に動物園へ行く。五年半ぶり二回目だ。前回は車で行ったのだが、その動物園はカーナビに登録がなく、目的地付近で「カレーが名物の動物園はどこですか?」と尋ね続けて、バク舎まで4時間もかかってしまった。だから今回は、公共交通機関を利用する。
暖かい時期のほうがマレーバクも元気だろうと思う。でもようやく回ってきた順番を他人に譲ることもない。
「いつ見るか? でも、何度見るか? でもありません」
と、マレーバク見学申込フォームには書かれている。
「大切なのは見るか見ないかだけです」
僕は、募集があるたびに申込みをしている。マレーバクを見ない人生だなんて、考えたくもなかった。
朝10時の電車に1時間。バスに乗り換えて30分。バス停「動物園入口」から徒歩2時間半でバク舎だ。マレーバクは僕を見て草を食み、水を飲んでおしっこをした。
僕は満足して家に帰った。昼食は、もちろんカレーだ。
暖かい時期のほうがマレーバクも元気だろうと思う。でもようやく回ってきた順番を他人に譲ることもない。
「いつ見るか? でも、何度見るか? でもありません」
と、マレーバク見学申込フォームには書かれている。
「大切なのは見るか見ないかだけです」
僕は、募集があるたびに申込みをしている。マレーバクを見ない人生だなんて、考えたくもなかった。
朝10時の電車に1時間。バスに乗り換えて30分。バス停「動物園入口」から徒歩2時間半でバク舎だ。マレーバクは僕を見て草を食み、水を飲んでおしっこをした。
僕は満足して家に帰った。昼食は、もちろんカレーだ。
ファンタジー
公開:19/12/08 09:41
更新:19/12/08 10:27
更新:19/12/08 10:27
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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