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「出といて」
言うと、お師匠は席の後ろにある窓を開けた。街を覆う霧は未だに濃い。
「はい。探偵セディ」
主人は受話器を取った。
探偵に直通の電話は、馴染みの刑事からの依頼が常だ。我々にはまだ、そう呼べる存在は1人しかいない。
「デニさんか」
どうやらその1人からのようだ。
「その師匠に出ろと言われたんだよ。出た以上引き受けるのも俺たちだな」
仕事のようだ。
「情報は師匠のタブによろしく」
そう伝えて、主人は受話器を置いた。
「良かったですよね?」
「ええ。どうやら杞憂だったようね」
「何の事ですか?」
「ただのお節介よ」
3つの目で見つめてくるお師匠。全てが見え過ぎてしまうという蒼く澄んだ目に、主人もわたしも未だにたじろいでしまう。
「あ。情報来たわよ、あら」
「どうしました?」
「譲らなきゃ良かったかも」
お師匠のタブには、壁に体をめり込ませた男の壮絶な姿が映されていた。
言うと、お師匠は席の後ろにある窓を開けた。街を覆う霧は未だに濃い。
「はい。探偵セディ」
主人は受話器を取った。
探偵に直通の電話は、馴染みの刑事からの依頼が常だ。我々にはまだ、そう呼べる存在は1人しかいない。
「デニさんか」
どうやらその1人からのようだ。
「その師匠に出ろと言われたんだよ。出た以上引き受けるのも俺たちだな」
仕事のようだ。
「情報は師匠のタブによろしく」
そう伝えて、主人は受話器を置いた。
「良かったですよね?」
「ええ。どうやら杞憂だったようね」
「何の事ですか?」
「ただのお節介よ」
3つの目で見つめてくるお師匠。全てが見え過ぎてしまうという蒼く澄んだ目に、主人もわたしも未だにたじろいでしまう。
「あ。情報来たわよ、あら」
「どうしました?」
「譲らなきゃ良かったかも」
お師匠のタブには、壁に体をめり込ませた男の壮絶な姿が映されていた。
ファンタジー
公開:19/12/07 20:52
更新:22/08/31 22:36
更新:22/08/31 22:36
連載
ファンタジー
怪盗
探偵
刑事
師匠
まずは、こんにちは。
練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。
小説・脚本なども執筆してます。
【番号なし】 用語・設定解説
【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。
【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』
【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。
【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』
【001~】 短篇集『short TaleS』
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