すすら

朧気に光る私と光明を纏う貴方が一つに重なった時、不完全な私という名の薄い器に十分な愛情が注ぎ込まれる。

私の瞼から今まで誰にも見せたことのない姿がすっかり冷めきった様をして流れていく。

赤い十字架に張り付けになった心が浮上し、藻を被っていたせいか、まだ側面が油染みている。

貴方は、錆びた私の涙に、どうしたの?と体調を心配している。

私は、純粋な月明かりを頼りに、貴方の頬に寂しく触れる。
大切なものを失ったあの日から、そればかりを取り戻そうと必死になっていた自分に言い聞かせるかのように、言葉なく、そっと微笑みでごまかす。

互いに慰めあった後、ゆっくりと自然的な朝を迎える。