お通し♬

3
7

「これ、お通しね」
ママはそう言って鶏大根を持ってきた

美味い
それ以上に、上手い

私はカラオケを歌うオジサンの歌唱力に度肝を抜かれた
渋い声が切ないバラードとマッチしていた
ママのハモりも絶妙だった

「次、あなたの番よ」
何を歌うか迷う私をさえぎり、ママが曲を入れた
知らない歌だった
「いいから」
躊躇する私にママはマイクを手渡す

え?
メロディが浮かぶ

私はマイナー調の曲をスラスラ歌い上げた

「驚いてるわね。あなたのお通しはタンチョウの煮込み。短調の歌が得意になるの」
ママはそう言って、刺身を食べた
「これは鱧、ハモりにピッタリよ」
店では歌声のバランスが良くなる様に、お通しを出しているらしい

「長調は?」
「唐揚げ」
隣の客の小皿には大きな蝶が横たわっていた
「揚げアゲハ?」
「かめはめ波みたいに言うわね」
店の奥では爺さん婆さんが元気に「チャラヘッチャラ」と歌っていた
ファンタジー
公開:19/12/07 19:06
更新:19/12/16 22:00

西木( Tokyo/Tokushima )

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