私をくるむもの

私の妹は可愛い。
そう言うと、周りは驚く。でも本当に可愛いんだから仕方がない。
いつまで経っても甘えん坊なのだ。ことあるごとに私に抱き着いてくる。
それも真正面から抱きついて、私の胸に顔を埋めるのだ。
スケベ心丸出しなその顔は正直、乙女がしてはいけないものだと思う。
いつも天真爛漫な割に空気をちゃんと読める。険悪な空気を払拭させるのはいつも妹の役目だ。お気楽に見えて、実は苦労しているんだろう。
そんな妹が私に抱き着いてくる。姉として、偶にはこうやって好きにさせてやらなきゃね。
妹は時折、私の胸に深く顔を埋めたまま動こうとしない。
妹だって泣きたい時ぐらいあるだろう。それを受け止められないで何が姉だ。
「何かあった？」なんて聞くのは無粋だ。
何も言わず、優しくくるんであげる。それが私の役目である。
いつもは妹の明るさにくるまれているんだ。
私達は姉妹。くるみくるまれ家族ぐるみは当然である。