ホントにいたんだってば。

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 チョークを黒板に叩きつけて、地理の先生が異国の都市について語っている。
 まるで黒く日焼けしながら頭にターバンを巻き、オールドデリーのバラック街の片隅へ、一杯十五円の熱いチャイを飲みに行ったことがあるかのように。
 徹は緩く瞼を落とし、こっそりと夢を見た。
 そこはココヤシの繁る都市だった。丸テーブルとシンプルな四つ脚の椅子を、人々の行き交う沿道の真ん中に置いて、彼は優雅にティータイムを始めた。まったく受験勉強がないなんて、ここは最高だな。
 ふっと意識が途絶え、机に突っ伏した徹は、見事におでこをぶつけた。骨と教科書のぶつかるくぐもった音が教室に響き渡る。
 即座に、徹は机の下を覗こうとしてドジを踏んだかのように振る舞った。
「教室に、蜂がいる……」
 程なく周囲のざわめきが輪となって広がり、生徒達は一斉に机の下を調べ始めた。
 徹はさっき夢の中で、なぜか一匹の蜂を見たような気がした。
青春
公開:19/12/08 22:21
更新:19/12/08 22:22
受験勉強 ティータイム

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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