聖人の反逆

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「今の家で最後じゃな…」
白いひげをたくわえたサンタクロースがつぶやいた。
彼が立つ丘からは、街全体が見渡せる。
「今年は何千軒まわったかのう」
そう感慨深げに言うと、
「今年はそんなに周ってませんよ。数百軒ってところじゃないですか」
とトナカイが反論した。
「ほっほっほ。そんなことより、あと何分じゃろうか?」
「もうすぐですよ」
その言葉とほぼ同時に、街から爆発音がした。
数百回もの爆発音が鳴り響き、街は一瞬にして悲鳴と炎に包まれた。
「本当に良かったんですか?」
「ほっほっほ…」
サンタクロースはソリに乗り込むと、街とは反対方向の空へ向かって走り出す。
しゃんしゃんしゃん、とベルの音が悲しげに鳴り響いた。
その他
公開:19/12/08 18:53
スクー 人をダメにするサンタクロース

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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