私をくるむもの

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捨て猫である私を助けてくれたのは浪人と呼ばれる男だった。刀を携え、厳つい髭面の男を人々は恐れていた。
私には理解できない。私だって爪と牙を持っている。髭面?私なんて全身毛むくじゃらだぞ?
なのに人は私を可愛いといい、男を怖いと言った。私と男、何が違うのだろう?
私は男と行動を共にする。男と一緒にいると私まで恐れられているようだ。気分がいい。やはり雄に生まれたからにはこうありたい。
虎の威を借る狐とはよく言ったものだ。私は男の威で自らをくるみ込んだ。
誰も私の事を可愛いと言わなくなった。威風堂々とした姿に凛々しいと噂される。
男には私の威を貸してやった。猫の威とは相手を油断させること也。
猫を飼い始めて丸くなった?いやいや、男は今まで以上に鋭くなったぞ。
猫侍ここにあり!と喧伝しておこう。
人はまず見た目で判断する。
そもそもこの男。実は口下手な将軍家付きの剣術指南役である。浪人ではない。
公開:19/12/08 18:37

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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