白い会社

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「白い会社」と呼ばれているホワイトカンパニー社は、北の大地に本社を置く優良企業だ。
白塗りの社屋の周りには、冬になると一面の銀世界が広がり、冬以外の季節は白砂による枯山水が美しい。社長は、サンタクロースの血筋で、長い白髪と白い顎髭が特徴だ。
同社は、白い便箋や修正液などの文房具から白い衣類、白い家具のほか、クリスマスシーズンにトナカイの乳を原料とした、生クリームでデコレーションされたショートケーキやチーズケーキを「白いスイーツ」として販売する。同社は、衣食住あらゆる白い商品を扱う「白の総合商社」だ。
実は、同社はもともとパワハラやセクハラ、サービス残業が横行したブラック企業として悪名高く、社会的評価が下がり敵対的買収を仕掛けられていたところ、ホワイトナイト(白馬の騎士)が現れて救済し、経営陣を刷新したうえで、働き方改革を断行して職場環境が劇的に改善され、ホワイト企業に生まれ変わったのだ。
その他
公開:19/12/06 21:36
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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