祢杏ちゃん

祢杏(ねあん)ちゃんは可愛い。

金髪碧眼のハーフだ。お父さんはドイツから来たらしい。屈託のない笑顔にひとめぼれしてしまった。

でもクラスのみんなは彼女がうまく日本語をしゃべれないのをからかっていじめる。僕はそれが許せなかった。身体の欠陥をあげつらうなんて最低だ。

そうして仲良くなったある日、高校からの帰り道で事故にあった猫の死骸を見つけた。僕は無視しようとしたが、祢杏ちゃんは放っておけないようだった。
「そんなことしたら汚れるよ」と僕は言ったが彼女はおかまいなしに街路樹のわきの土を素手で掘り返し猫を埋葬し、そこらにあった花を手向けて悲しそうに微笑んだ。

まさに天使がそこにいた。

僕は卒業したら祢杏ちゃんと結婚したいと思った。でも、大きな障壁がある。彼女のお父さんはドイツで猟師だったらしい。まだ会ったことないんだが、とてもゴツくて怖い外見だと聞く。はたして許してもらえるだろうか？