ふたりでいること

台湾に向かう飛行機に彼女は乗った。一週間ほどの旅行のはずだった。一緒に行こうと誘われていたけれど、今年の遊びに使うお金は既に予算オーバーで断ってしまった。
断らなければよかった。
飛行機は粉々にくだけて、一緒にいけなかったことを深く悔やんだ。
一緒に残れなかったことを恨んだ。
隣にいたらどんな気持ちも言葉にすることをためらわないでいられた。
ひとりでは出てこない言葉や思考が話しを聞いてくれる彼女に向けてなら怖気づかずにぽろぽろ出てきた。
話すペース、歩くリズムが同じで、食べる早さが違う。
こんな時、自分が何を感じているのかわからなくなる。彼女といれば、自分の気持ちも見つけられるのに。