記念切手・貼ラスメント

「記念切手、お貼りしてよろしいですか？」
郵便局の窓口へ封筒を出したら、係の人に確認された。既にシートに指が掛かってる。とりあえず届けば良いんだし、深く考えず返事した。
「良いっスよ」
ハタチくらいの可愛い子だ、軽く鼻の下が伸びる。さすがに糊をなめて貼るなんてしないだろうけど。ピンクのネイルがミシン目をちぎる、音とビジュアルに萌える。記念切手、買わなきゃ使う機会ないよな、むしろ得した感じ？鼻歌気分でカウンターを覗き込み、硬直。
「……それ、何スか？」
シート全面、肌色。
「手です」
見て判る。そうじゃなくて！
「Ｊ－ＮｏＬＥＰＣ（日本非言語交流推進委員会）の公式ハンドサイン。裏メニューです」
裏は公式じゃねぇよ。『Ｆｕｃｋ』とか『Ｄｉｅ！』とか、果ては一部モザイク掛かってるぞ。何でよりによって！？
「ありがとうございました♡」
発禁級の卑猥な一枚を貼り付け、営業スマイルが封筒を引っ込めた。