修正駅

その駅には過去を変える不思議な力があると聞いた。
書き変えたい過去を書いた紙を駅員に渡すと望んだ過去に書き変わっていると聞く。
私も駅員に書き変えたい過去を書いた紙を渡した。私はそこで怖くなった。
過去を書き換えると未来はどうなってしまうのだろう？私が望んだ未来になっている？それは分からない。
何より過去を書き換えた人は駅を出るとその姿を消してしまう。
過去を変えたんだ。ここに来る未来も消えたのだ。
過去が書き換わるという事は世界が書き換わる事でもある。
駅を訪れ、出るまでのたった５分で外の世界は大きく様変わりしている。誰もそれに気付かない。それに気付けるのは長く駅にいる私だけだ。
外に出られない私を見かねた駅員は私を雇ってくれた。私は外に出る覚悟のないまま、ここに長く勤めている。
昔、世界五分前仮説というものを聞いたことがある。
私はあの仮説が真実である事を毎日目の当たりにしている。