僕の彼女

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黒目がちのくりくりした瞳。ふり向くと、長くてまっすぐな髪から石鹸の匂いがする。
彼女が家に来るのは初めてだ。「家には来ないで」と言ったら、即効来てくれた。
冷凍庫を開けるなり、彼女は叫んだ。
―炒飯と餃子だけ?今すぐアイス買ってきて!
―帰ってきたばかりだよ?絶対嫌だ!

最寄コンビニまで凍道をへっぴり腰で急ぐ。
ハゲンダッスのチョコラシャンパンダブルベリー、くーーっ、ペヤソグ3食分じゃねえか。
僕は内心の咆哮を抑えつつ、レジを済ませ、秒で帰宅した。家の灯りが見えると、ほっとする。

―ハゲンダッスじゃないよ、へなチョコ。
渡したアイスを彼女はポイ捨て。
―アイスと言えば、ガリカリ君。オトナガリカリ君の苺ロワイヤルに決まってるでしょ!はい、出直し。
―それ、ないって今。
―見つけてきてね。
―あ、ちょっちょっちょ…

玄関から押し出された。
かちゃり。
その他
公開:19/12/04 17:00
更新:19/12/04 20:14

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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