手をたずさえて

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―戦争の話?学校の宿題かい?違う?
そうか、ふうん…。

お祖父ちゃんはね、召集されて中国大陸にいたんだ。

祖父は色褪せた地図を出して、孫娘の前に広げた。

ほら、大体この辺りまで。幸い戦闘らしきものは殆ど無かったけどね。
でもある晩、敵の兵隊が迷い込んできて…皆で殺してしまったよ…戦争だから。あれは…忘れられない。

終戦後は逆に怖くてね。隠れて内地から港に向かったんだ。だがあと少しという時に現地の人に見つかってしまった。
でも彼は言ったんだ。

『おめでとう。もう貴方は国に帰れる。今までのことは全て戦争の所為だ。私は貴方達を恨まない。貴方を殺さずにすむことを嬉しく思う』

そして港まで送ってくれた。涙が出たよ。自分にとっての終戦はあの時だった…。

孫娘は黙ったままだった。
祖父はそっと地図を折り畳み、静かに立ち上がった。
「…ありがとう」
出ていく祖父の後ろで、孫娘が小さく呟いた。
その他
公開:19/12/04 16:00
更新:19/12/04 13:49
節目

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
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【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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