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ひどく寒いからロケットの中で眠っていたら、夜のうちに俺は最前線の基地に運ばれていた。
そうか、このロケットは弾道ミサイルだったのか。いやだなぁ発射されたら。痛いよなぁ爆発したら。入口は閉められちゃってるし、ていうかなんか動いてる。あれ、これもう発射台の上じゃん。マジかよ。
聞こえるのは人間の言葉。何を言ってるのかわからないけど、強く厳しい言い回しが軍隊だなぁって思う。
爪を立てて踏ん張ったけど、どんどん角度がついてきて、もうすぐ垂直だよこれ。あーあ。なんだって俺は基地で暮らしてたんだろ。食べものくれるからいい人だって安易に考えてたけど、違うのかもな。でもあれか、彼らが悪い人ってわけでもないのか。あーあ。めっちゃ緊迫感出てきた。そろそろかな。俺はどこを間違えた?これって避けられた未来?発射するほうもされるほうも猫好きじゃん。
あ。
わー。

う。

その日から世界中の猫は啼くことをやめた。
公開:19/12/04 11:29
更新:19/12/04 11:31

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