001.最速

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 最速の足を持って生まれた彼が、その才能に甘んじなかったのは、単純に強大なライバルがいるからに他ならない。
 152形De-50。
 南大陸の主要都市間を繋ぐ蒸気機関車であり、最高時速200キロに達する怪物である。
 3日に一度、怪物は彼の住む村に物資を運んでくる。
 最初は、競争相手がいなくなった彼のお遊びだった。出発する怪物がスピードにのった瞬間からレースはスタートした。
 しかし、身軽になった車両。直線のレール。起伏のない平原という条件下で、怪物はその所以たる速度に悠々と達し、最速と呼ばれた彼はあっという間に置き去りにされてしまった。
 それ以降、彼と怪物の勝負の日々が始まった。
 季節がひと巡りした頃、彼の噂は怪物の運転手にも届くようになり。
 ふた巡りした頃、彼はその運転手に挨拶ができるまでになり。
 みつ巡りした頃には、彼らはすっかり肩を並べて駆ける友人となっていた。
ファンタジー
公開:19/12/05 21:04
更新:20/01/06 11:12
ファンタジー 短編 競争 機関車 少年

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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