映画の終わり

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目を開くと映画館の座席。
私の他に客はおらず、私がなぜここにいるかもわからない。
なにもわからぬまま目の前のスクリーンから映画が始まる。タイトルは「あなたの人生」
そこからは長いようで短かった。短いようで長かった。私は一生分の怒り、悲しみ、嬉しさ、悔しさ全てを味わった。
ラストシーンは病室。静かに息絶えた私に、家族は優しく微笑みながら泪を流していた。
エンドロールが流れ始め、私に関わった人全員の名前が流れる。読み切れないほどの多さだ、もうよく思い出せない人もいる。それでも必死に目で全員の名前を追った、すると自然に泪が流れた。
そして映画は終わり、白服の何かが言う「お迎えにあがりました」
やはり私は死んだのだ。人生は映画だと言う。この映画が人生の節目で見れるなら生きていてよかったと思う。
映画館を立ち去る時、私は自分の人生に「さよなら」と言おうとしたが口から出たのは「ありがとう」だった。
その他
公開:19/12/05 02:09

なおき( 愛媛 )

22歳の学生です。

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