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うちで主に作ってる「知恵の輪」は、細い鉄製の、いわゆる旧式のヤツだ。俺は検品部の5年目で、主に「外し検品」を担当している。知恵の輪の検品は基本的に「組み検品」なのだが、うちの工場では知恵の輪の使命である「外し」のユニークさ(解く方法が唯一であるか)を、全数検品することを怠らない。成型の加減で、抵抗なく外れなければならない角度なのに引っ掛かったり、力ずくで解けてしまうような不良品は、弾かなければならないからだ。
うちの製品で最も難易度の高い知恵の輪は、糸状のガラスを組み合わせたものだ。これは非常に脆い。その検品は、技能試験をパスした検品部の精鋭のみが行う。実は、その試験に用いられる知恵の輪こそが難易度No.1で、シュクレフィレで出来ている。その試験用知恵の輪を作れるのは世界に二人だけだ。
俺は、いつかこのシュクレフィレ知恵の輪を解いて、検品部のエースになってやろうと、研鑽を積んでいる。
うちの製品で最も難易度の高い知恵の輪は、糸状のガラスを組み合わせたものだ。これは非常に脆い。その検品は、技能試験をパスした検品部の精鋭のみが行う。実は、その試験に用いられる知恵の輪こそが難易度No.1で、シュクレフィレで出来ている。その試験用知恵の輪を作れるのは世界に二人だけだ。
俺は、いつかこのシュクレフィレ知恵の輪を解いて、検品部のエースになってやろうと、研鑽を積んでいる。
その他
公開:19/12/03 15:26
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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