私をくるむもの

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数十年ぶりに私の封印が解かれた。子供よ。さあ、私にその名を刻むのだ!
「パパー。このノート何?」
「ああ、これは閻魔帳だな」
「閻魔帳?」
「昔、パパの学校で鬼ごっこが流行っていたんだ。休み時間になる度に皆で続きをやるもんだから、パパが鬼の名前を書いて管理していたんだよ」
「へー。でも何でこのノート、布にくるんで大切に取っているの?」
「そりゃ、パパにとって大切なものだからだよ。ほら、ここ見て。いつも最後に鬼になるのはこの女の子だったんだ。パパはその子から鬼を貰いたくて、このノートを付け始めたんだよ」
「その女の子って誰?」
「ママだよ」
『パパー。アキラー。何しているの。早くいらっしゃい』
「今じゃすっかり鬼嫁だけどね」
子供よ。私の凄さが分かったか?私は縁結びの神の力を宿したノートだ。
君にも好きな人がいるんだろ?さ、君の名とその子の名を私に刻むのだ!その恋、必ず成就させて見せよう!
ファンタジー
公開:19/12/02 18:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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