特定した

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 着信。
「はい。ショッピングセンター○○です」
 無言
「もしもし。ショッピングセンター○○です」
「……モシモシ」
「はい。もし(ガチャ)」
 直後、同じ番号から着信。
「はい。ショッピングセンター○○です」
 無言 
「失礼ですがご用件は(ガチャ)」
 直後、また着信。
「はい。ご用件をお伺いいたします」
「…ナイデス」
「それでしたらお電話はご遠慮下さいませ」チン。
 すぐ着信。
「もしもし。ご用……」
「あるよ。あんたの対応にクレームだ。息子がガチャギリされて精神的苦痛を受けた。明日行くから誠意を見せろ」だって。
 待てよ、明日なら……
「午後2時きっかりでしたら誠意をお渡しできます」
「その言葉忘れるなよ!」
 翌日午後2時。
「おめでとうございます当店10万人目のお客様です! 賞金十万円とハワイ旅行へご招待します!」
 こうして私は、こいつの個人情報と旅行日程とを特定した。
その他
公開:19/12/02 17:39

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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