Aランチの夫、Bランチの夫

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目覚めると一歳の娘がいない。
「あなた、サヨはどこ?」「サヨって誰?」
返事をした夫といるのは見知らぬ部屋。「それよりなぜここにいる? 君とは別居中だし、娘なんていないだろ。」
私達の記憶は三年前のある日を節目に食い違っていた。どうやら私はその日Aランチを選んだ方の世界を、夫はBランチを選んだ方の世界を生きてきたようだ。
娘がいる世界に戻らなきゃ。来る日も来る日も帰る方法を夫と模索した。それが三年も続くうちに私は気づいた。Aランチの世界の夫の方が収入が高いがプライドも高く傲慢で、Bランチの夫は別居という挫折を経験したせいか謙虚で優しい。Bランチの夫の方が、好き。
そう思った翌朝、娘の泣き声で目が覚めた。再び元の生活が始まったが、Bランチの夫を思い出すたび、目の前の夫が嫌になる。ある日、ついに離婚を切り出すと夫は驚いて尋ねた。
「なぜだ。他の男を好きになったのか?」
SF
公開:19/12/05 20:20
更新:19/12/05 20:17
節目 結婚 出産 ランチ 恋愛

kan0j0( 東京 )

おとぎ話を一粒、どうぞ。百字物語から長編までファンタジーを中心に執筆。ブログでは他に、怖くない怖い話や育児エッセイなど、多重人格に文と絵を書き(描き)分けています。仕事ではコピーライター10年。2019年、フリーに。まずはZINEをつくりたいと思っています。共にコラボできる方など高め合える人ができたら嬉しいです。
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