節目太鼓

12
18

ドーン!
太鼓の音が鳴り響く。ついに節目がやってきた。
「おい、節目がきたぞ!」
「おう!待ってました!」
皆が自分の節目バチを取り出した。この村の男衆は背中に一人一本バチを持って生まれる。年季の入ったバチもあれば、まだ若々しいバチもある。
ドンドンドンドン!
「節目太鼓のお出ましだ」
直径5メートルの大太鼓を、自らのバチで思い思いに叩いて祝う。
「今回はなんだ?」
「おめぇ、知らねえで叩いてんのか?タケんとこに赤ん坊が産まれたんだ」
「おお!そりゃめでてぇ節目だ」
酒を飲んで乾杯し、喜び乱れ打ち。
「赤ん坊がびっくりして起きちまったよ」
女房たちが呆れて覗きに来る。
生まれたばかりの赤ん坊を連れてタケの女房もやってきた。
「いい子だ!よく生まれてきてくれた!どれ」
背中に手を回すと丈夫なバチがスッと通っていた。赤ん坊の手にバチを重ねて包み込む。
太鼓に負けない大きく元気な泣き声が響いた。
公開:19/12/03 20:24
更新:19/12/31 22:51
節目

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容