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あの頃をふと思い出す時がある。当時、彼は私の全てだった。傍に居てくれるだけで、他は何も要らなかった。けれど私は、何度も騙され、裏切られ、捨てられた。
ただ、一途に愛されたかった。
信じても繰り返され。
諦めても苦しくて。
それでも、私は。
誰の、何の為に。
分からない。
彼を失った私は、まるで空虚な海に揺蕩う案山子のようだと友人が言った。人の顔が能面に見え、声が風切り音に聞こえても、心は凪のように起伏を失った。
先日、彼が死んだと聞かされた時もそれは変わらなかった。私は彼のことを赦していなかっただけだった。
本日の降水確率は0%。でも私は、傘を広げて雨を待つ。
やっぱり雨が降ってきた。
空を見上げる私の顔を一粒の雫が流れ、落ちた。
停滞していた一歩を踏み出す。今日という日を決して忘れないように。
花屋の店先に並ぶネモフィラが、私に語りかけた気がした。
ただ、一途に愛されたかった。
信じても繰り返され。
諦めても苦しくて。
それでも、私は。
誰の、何の為に。
分からない。
彼を失った私は、まるで空虚な海に揺蕩う案山子のようだと友人が言った。人の顔が能面に見え、声が風切り音に聞こえても、心は凪のように起伏を失った。
先日、彼が死んだと聞かされた時もそれは変わらなかった。私は彼のことを赦していなかっただけだった。
本日の降水確率は0%。でも私は、傘を広げて雨を待つ。
やっぱり雨が降ってきた。
空を見上げる私の顔を一粒の雫が流れ、落ちた。
停滞していた一歩を踏み出す。今日という日を決して忘れないように。
花屋の店先に並ぶネモフィラが、私に語りかけた気がした。
青春
公開:19/12/03 19:31
花言葉:あなたを赦します
綺麗な文章を書きたいと思ってます。
どうぞ、よしなに。
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