Like a talking blues

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あの日のことはよく覚えている。
ひどく寒い朝の空気で、道路は凍り付いていた。
君からの久々の着信履歴。
次に友人からの涙の留守電。
『君』の訃報の知らせだった。
君はあの朝旅立った。冬の朝に抱かれて逝った。

私が初めてのスマホに浮かれていた時、君は既に意識がなく。
君からの返信がないと落胆していた時、君の意識は未だ戻らず。
当たり前に私が出勤する朝、君はそのまま風に吹かれた。

何も知らずに過ごしていた。
終わらない日常を信じていた。
あの朝、君は逝った。
終わらない、不在が塞がらない。
悲しみが埋まらない。

賑やかな年の瀬に
イルミネーションを纏う街に
行く年来る年を想う夜に
君がいない。どこにもいない。
明るい太陽の笑顔がない。

幾度目かのその日を越えて、何度も君との日々を願う。
誰かメロディをください。歌なら心を込めて歌い続けられるから。
夜中に今でも涙を流す、独り言の呟き歌。
その他
公開:19/12/01 14:14
節目

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
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