NPO法人 白猫補助ボランティア

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 寒いけれどよく晴れた風のない日。ベランダからおじいちゃんに「ちょっと来てごらん」と呼ばれた。
 行ってみると、隣にあるソーラーパネルの周囲に二十人くらいの人がいて、何かを運ぶパントマイムをしている。
「あの人たち何してるの?」
「白猫だよ」
「え? どこどこ?」
 改めて人々を観察してみると、彼らは地面から何かをそっと抱え上げ、パネルの上にポンと置く動作を繰り返しているようだった。
「パネル一枚に一匹ずつ猫が寝るんだよ。あそこほど日当たりのよい場所はないからね」
 120枚のパネルに120匹の白猫。
「パネルの位置が高いから、乗り降りする白猫の補助をしないとね。昨日おじいちゃんも登録した」
「登録って、大丈夫なの?」
「大丈夫さ。NPO法人だからね」
「そっか。でも私には白猫見えないよ」
 と、私は本当のことを言った。
 すると、おじいちゃんは私の頭を撫でてこう言った。
「そうだろうな」
ファンタジー
公開:19/12/01 10:54
更新:19/12/01 12:07

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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