宝星店

24
15

銀ぶらしていると、宝石店にまじり『宝星店』の看板が目に入った。敷居が高かったが、興味が先行したので入店してみた。
「『たからぼしてん』って何ですか?」
「お客様、ご来店ありがとうございます。当店は『ほうせいてん』でございます。
夜空に輝く星を細かく砕き、特別なレーザーカットを施し、宝星にしております。
星には、明るさによって一等級から六等級まであり、色も表面温度によって赤、オレンジ、黄、白、青白があります。一番明るい一等級で、最も高温の青白に輝く宝星が高価です。宝星の表面を特殊コーティングしており、熱く感じることなく美しい輝きを楽しめます。当店では天然物しか扱っておりません。
今の季節ですと、『冬の大三角』を結ぶ三つの宝星や『冬のダイヤモンド』を結ぶ六つの宝星が入ったセット商品が人気です」
説明を聞き終えると、「一〇億光円」という目の玉が飛び出るような値段を見て、そそくさと店をあとにした。
その他
公開:19/11/29 14:50
銀座 宝石 レーザーカット コーティング 天然物 冬の大三角 冬のダイヤモンド 光年 プレミアムフライデー

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容