私をくるむもの

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私達の遺伝子には強い変身願望が刻まれている。
芋虫と呼ばれる幼少期。私達はその名をよしとしなかった。
だから自らの吐く糸でこの体をくるむ。
より美しく、あの大空を舞う存在になりたいと体を作り替える。
そうして私達は蝶と呼ばれる存在になるのだ。
蝶とは超。己の殻を破り、常識を超えていくからこそ空を飛ぶ存在になれるのだ。
中には脱皮というものを繰り返し、進化する生物もいる。それもまた己の殻を破った証拠だ。
それらが出来ない生物は実に遅れていると思う。
ただ、人間に限ってはその限りではない。
私が見たところ、人間は小指の先から赤い糸を出しているではないか。
蜘蛛の糸にも似たそれはとても人を進化させるものであるとは到底思えない。
だが、その赤い糸によって絡められた雄と雌は親と呼ばれる生物へと変身する。
私達のような美しい翼は持たない。
しかし、親子愛という内面の変化を以て進化したことを感じる。
公開:19/11/30 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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