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授業を抜け出して学校の裏、雪の降り積もった林の中にやって来た。
ずいぶん歩いたので息が荒く、まるで蒸気機関車みたいに白い息を吐いていた。
木の枝に引っ掛けた制服のスカートが少し破けてしまった。
勉強なんか、学校なんか、もうどうでもいいと思った。
その林は落葉樹の林で、木々はどれもすっかり葉を落としている。
でも、歩いていくうちに、たった一本だけ緑の葉を付けた木が見えて来た。
不思議に思い、近づくとその木の周りだけが暖かく、木の根元だけが丸く雪がなかった。
そこだけが夏のように暖かい。
思い出した。
この木はあの子と一緒にイニシャルを刻んだ木だった。
木の後ろ側にそれがあった。
T・KとM・Mのハートの中のイニシャル。
涙が出た。
もう会えないM・M。
名前を思い出すのもつらかった。
その時、後ろからポンと肩をたたかれた。
まさかそんなはずはないと思うばかりで、振り返る勇気はなかった。
ずいぶん歩いたので息が荒く、まるで蒸気機関車みたいに白い息を吐いていた。
木の枝に引っ掛けた制服のスカートが少し破けてしまった。
勉強なんか、学校なんか、もうどうでもいいと思った。
その林は落葉樹の林で、木々はどれもすっかり葉を落としている。
でも、歩いていくうちに、たった一本だけ緑の葉を付けた木が見えて来た。
不思議に思い、近づくとその木の周りだけが暖かく、木の根元だけが丸く雪がなかった。
そこだけが夏のように暖かい。
思い出した。
この木はあの子と一緒にイニシャルを刻んだ木だった。
木の後ろ側にそれがあった。
T・KとM・Mのハートの中のイニシャル。
涙が出た。
もう会えないM・M。
名前を思い出すのもつらかった。
その時、後ろからポンと肩をたたかれた。
まさかそんなはずはないと思うばかりで、振り返る勇気はなかった。
ファンタジー
公開:19/11/30 18:28
更新:19/12/01 14:54
更新:19/12/01 14:54
もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)
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