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「俺、トイレットペーパーを交換したことがないんだよ」
と、一人暮らしの友人が言った。
「じゃ、誰が交換してるってんだよ」と聞いたら
「それを確かめたいから、部屋に来てくれないか」と言う。
トイレにカメラを仕掛けたというのだ。こいつが糞してるとこなんて見たくなかったが、一人で確認するのはどうしても怖いからというので、仕方なくつきあってやった。
「お前が糞してるシーンは早送りしてくれよ」
既に残り少ないトイレットペーパー。トイレに入ってくるこいつ。早送り。トイレを出るこいつ。トイレットペーパーが新品に交換されている。
「おい、これ……」「あ、ああ」
仕方がない。巻き戻してじっくりと見る。
そっとトイレに入ってくる男。こいつに会釈をし、トイレットペーパーを新品を交換し、再びこいつに会釈をし、こいつも会釈を返す。出ていく男。
その男はオレだった。
俺たちは顔を見合わせて、ゾッとした。
と、一人暮らしの友人が言った。
「じゃ、誰が交換してるってんだよ」と聞いたら
「それを確かめたいから、部屋に来てくれないか」と言う。
トイレにカメラを仕掛けたというのだ。こいつが糞してるとこなんて見たくなかったが、一人で確認するのはどうしても怖いからというので、仕方なくつきあってやった。
「お前が糞してるシーンは早送りしてくれよ」
既に残り少ないトイレットペーパー。トイレに入ってくるこいつ。早送り。トイレを出るこいつ。トイレットペーパーが新品に交換されている。
「おい、これ……」「あ、ああ」
仕方がない。巻き戻してじっくりと見る。
そっとトイレに入ってくる男。こいつに会釈をし、トイレットペーパーを新品を交換し、再びこいつに会釈をし、こいつも会釈を返す。出ていく男。
その男はオレだった。
俺たちは顔を見合わせて、ゾッとした。
ホラー
公開:19/11/30 08:04
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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