消えない過去

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私は失敗だらけの人生をリセットしたかった。悔いても悔いても上書きできずにしこりとなった過去の記憶。あぁ、何もかも忘れたい。
そんな時友人が私を梨園に連れ出した。季節外れの梨が沢山実っていて、私は驚いた。
友人は言った。「この梨を食べると嫌な過去を無かったことにしてくれるんだって。梨だけに無しにってか!」
友人は苦笑しながら言った。馬鹿げている。
私は……今までの過去全てを捨てたかった。友人に言えない秘密だってある。過去が疎ましかった。
私たちは半信半疑で梨をもぎ取りせーので一口齧った。
すると友人は不安げに私のいる辺りをキョロキョロ見始めた。私の存在を認識出来ていないらしい。
どうやら『私』自身が無かったことになってしまったようだ。
意識はあるし身体も自由に動くのに、誰にも認識されなくなった。
また嫌な過去が増えてしまった。
私は泣きながらまた一口梨を齧る。

最期まで過去を愛せなかった。
その他
公開:19/11/28 20:42
更新:19/11/28 20:42

夜野 るこ

  夜野 るこ と申します。
(よるの)

皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。

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