私をくるむもの

2
5

皆、私の本体を可愛い可愛いと言って触ってくる。
無知な人間め。少し痛い目に遭わせてやろう。
この人間は「能ある鷹は爪を隠す」という言葉を知らないのか?私ほど凶暴性を秘めた危ないものなどこの世にない。
本体からも許可が出た。私は肉球からぴょこっと出て、飼い主を名乗る人間の手を引っ掻く!…つもりだったが、その腕は捕まえられた。
「やっぱり、爪伸びてる」
そう言って、本体を膝の上に乗せ、私を切り落とそうとする。
やめろ!私は叫び、肉球に戻ろうとする。
しかし、いくらくるまろうとするも、人間は肉球を掴み、私を押し出す。
パチンパチンと軽快な音を立て、見る見るうちに私の凶暴性が失われていく。
「これでよし」
人間の爪切りの技術は高い。本体である猫は爪切りに満足している。
しかし、爪である私は不満で一杯だ。
これが「出る杭は打たれる」ということか…
公開:19/11/28 18:28

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容