失われた白菜

その畑から白菜が盗まれていた。
「見つけたら首を刈り取ってやる！」と、農夫は鍬を振り下ろした。

「遅いわ、まだかしら」
クレアは恋人のサムに美容院を紹介して行かせ、その帰りを待っていた。

「もしもし…リック。サムは？」
『クレア。僕は世界的アーティストのはずだよね？』
「どういうこと？」
『サムは、僕の作品を理解していないようだ』
「サムはジョークが下手なの。お願い、サムの声を聞かせて」
『残念だよ。完成品を白菜とはね……。でもクレア。ハロウィンに相応しい作品が完成したよ』その時、リックが時折見せる、猟奇的な目を思い浮かべた。

クレアが美容室のドアを開けると、カットクロスの下から両足と、首には白菜が乗せてあった。
クレアが悲鳴を上げると…白菜が落ちた。
「ハッピーハロウィン！」
と、リックの声。クロスから顔を出したサムは、笑いながら、リックとハイタッチした。
「男って、ほんとバカ！」