セピア色の写真のひとへ

お誕生日に、私のお婆ちゃんがそっと見せてくれた一枚の写真。セピア色をしている写真なんて初めて。
女学生が写っている。へえ、その人は、お婆ちゃんのお母さんなの？
つまり私のひいお婆ちゃんだね。初めて見たよ。
私とよく似ていると、お婆ちゃんは言った。何だか、くすぐったい。80年も昔の写真の人とそっくりなんて、すごく不思議な感じ。

高等女学校を卒業して学校の先生になった。結婚したら夫婦で満州へ開拓に。きっと、いっぱい苦労したんだろうなあ。
娘がふたり生まれて、そのひとりが私のお婆ちゃん。
でも終戦後すぐ、ひいお婆ちゃんは幼い子たちを残し、突然に世を去ってしまった。この写真から、たった10年後に。

これを撮ったときには、全く思いもしなかったことでしょう…

でもね、ひいお婆ちゃん、あなたの旦那様は、きょう百歳を迎えられましたよ。
どうか安心してね。いつも、とっても元気なひいお爺ちゃんなのです…