ことこと煮たテニス

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男は生前、テニスラケットで妻を殴り殺した。
その罪より閻魔大王から地獄に行くよう命じられた。

男は「ことこと煮たテニス」地獄へ鬼達に連れて行かれた。
東京ドームサイズの寸胴鍋には、生きた人間がそのまま煮込まれた赤いスープがたゆたっていた。
その鍋の上にはテニスコートがある。
罪人同士のテニスゲームに負けたら、お前もスープの具になると鬼は言った。

男はテニス経験者だった。
対戦相手は素人ばかりで、頑張ればなんとか勝つことができた。
鍋に落ちたくない一心で男は勝ち続けた。

ある日、ついに恐れていたことが起きた。
プロのテニスプレーヤーが対戦相手に現れたのだ。
白熱した試合となったが、男はついに敗北し、スープに落ちた。

熱くてたまらず悲鳴を上げた。
這い上がろうとすると、何者かに足をつかまれた。
見ると妻だった。
男はラケットで妻を殴ったが、もうこれ以上妻を殺すことはできなかった。
ホラー
公開:19/11/27 15:52

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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