旅立ちの時
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あと1回、あともう1回だけ。そう思い続けて何度あの山へ足を運んだだろうか。あの山には娘がいるの。絶対にいたの。夫には何度話しても取り合ってもらえない。
棚にある遺影の中で娘の真梨が笑顔でこちらを見つめる。この写真は、真梨が4歳の誕生日に撮ったものだ。ケーキの陰から小さなピースサインが覗いている。真梨の笑顔がまた見たい。まだあそこにいるよね。1年前、真梨はちゃんとあそこにいたもんね。
気づくと私は車に乗り込んでいた。何十回と通った道。もう迷うはずがない。2年前の事故現場に着く。
「真梨、きたよ」
柵の一部がわざとらしく新しい。
「真梨!!」
あのとき確かに真梨はここにいた。
3月27日。それは真梨が5歳になった日だった。今日はその1年後。真梨は6歳で小学校に上がる節目の年。
でも真梨はいなかった。
美里はランドセルのキーフォルダを枝にぶら下げ、震えた手をそっと合わせた。
棚にある遺影の中で娘の真梨が笑顔でこちらを見つめる。この写真は、真梨が4歳の誕生日に撮ったものだ。ケーキの陰から小さなピースサインが覗いている。真梨の笑顔がまた見たい。まだあそこにいるよね。1年前、真梨はちゃんとあそこにいたもんね。
気づくと私は車に乗り込んでいた。何十回と通った道。もう迷うはずがない。2年前の事故現場に着く。
「真梨、きたよ」
柵の一部がわざとらしく新しい。
「真梨!!」
あのとき確かに真梨はここにいた。
3月27日。それは真梨が5歳になった日だった。今日はその1年後。真梨は6歳で小学校に上がる節目の年。
でも真梨はいなかった。
美里はランドセルのキーフォルダを枝にぶら下げ、震えた手をそっと合わせた。
公開:19/11/27 07:19
更新:19/11/27 21:27
更新:19/11/27 21:27
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