シメキリ

パチン！

また一時間切り取られた。全然お話は書けてないのに。

パチン！

また一時間。頼むよ、書くからさ。もう12時間しかないじゃないか。

パチン！

今度は空間も切られた。部屋のドアから先が切り取られ、出られなくなった。

パチン！

書けばいいんだろ、書けば。僕だって本当は書きたいんだ。頭の中の世界が文字にならないんだよ！
だから、まずは昼寝して頭を整理して…

パチン！

わかったよ、せめてこのドラマだけ先に見たら…

パチン！

シメキリは私の言葉を無視して時間や空間を切り続けた。

わかった！この爪を切ったら書くから、もう止めてくれよ！

僕はシメキリに向かって両手を差し出した。

パチン！

僕の爪は何も変わらなかった。
そして僕は足元に落ちた両手を見つめながら、この体験をどうやってショートショートにするか悩んでいた。

シメキリまで後…

パチン！