アマトリ

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 女は人目を避けて店に入った。薄暗い店内には何人か先客がいるようだ。男が近づいてきて、低い声で尋ねる。
「クサ? 白いの? MD?」
「クサを頂戴」
 頷いた男から包みを受け取った。待ち切れずに包みを開く。上物だ。香りが違う。恍惚への期待。
 女がそれを口に運ぶ。そのとき、
「そこまでじゃん。厚生労働省じゃん。自分の身体を壊したいん?」

 医療費削減のための「糖尿病予防プログラム」。和菓子店から客達が連れて行かれた後、甘味取締官は店内を見渡した。草餅、白あんぱん、みたらし団子が散乱している。
 取締官は嘆息すると、ポケットから包みを取り出し、粉だけをひと舐めした。
「これの方がよっぽど、ハッピーじゃーん」
SF
公開:19/11/25 18:48

techtech

のんびり書いていこうと思います。
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