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その日の天候は突然の異常気象で猛吹雪へと変わった。
昨日までなら街は紅葉で色鮮やかに彩られ、観光客も多くいただろう。
だが、今日は誰一人、街を歩く者などいない。
当然である。
いきなり、数時間で雪が2メートルも積もったら車も人も慎重になり外出は控えるものだ。
それは猫にも当てはまる。
「わ~、見てみて。雪だよ、雪。ねえ、外で遊ぼうよ」などと、はしゃいでいるのは犬ぐらい。
猫は予想通りコタツの中で丸くなっていた。
コタツの中に人間の足が入って来ようとも、宇宙人の触手が入って来ようとも、断固としてその場を動く様子はない。
「ぬくぬくニャー、暖かいニャー」
猫は寝言を漏らしながらウトウトと眠っている。
ふと、眠っている猫の鼻先に香ばしい匂いが漂ってきた。
何かがこんがりと焼ける香り。そして煙が。
「何を焼いているのかニャー。むにゃ、むにゃ。た、大変ニャー。ニャーのプリティーな尻尾が火事だニャー」
公開:19/11/24 22:07
更新:19/11/24 22:16

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