「オン」

「クソババア！」
「わしゃジジイじゃ！」
「母親ヅラすんじゃねぇ！」
「だからジジイじゃ！」
「あんたの子供なんてまっぴらだ！」
「血は繋がっとらん！」
とある研究室で、男の子とお爺さんが激しい言い合いをしていた。
「うぜぇ！」
「やれやれ、困ったもんじゃ」
そこにお婆さんがやって来た。
「まーた変なもの作って」
「多感なお年頃がどんなもんかと思っての」
「中学生男子アンドロイドですか？」
「なかなかリアルじゃろ」
「煩くて耳が痛いですよ。早く止めてください」
「それがのぉ」お爺さんがアンドロイドの背中に付いている電源をパチパチする。「オフにならんのじゃよ」
「触んな、クソジジイ！」
「ジジイとは何じゃ！」
そんな二人を見ながら、お婆さんがポツリと呟く。
「憑いてるのねぇ、怨が」
「なんと。塩じゃ、塩！」
お祓いしようとするお爺さんに「無駄ですよ」と、お婆さんが微笑んだ。
「反抗期だもの」