「私、幽霊なんです」

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 バス停にて、隣に立つ足の無い男はそう告白した。
「オーソドックスだと思いになったでしょ? でも違うんです」
 男は空を見上げる。
「旅に出てもらいました。生前の悔いでして。世界中を歩いてもらいました。それで待ち合わせ。ほら足音が」
 男の視線に合わせる。一組の革靴を履いた足が歩いてきた。
「え、足だけでは何も見聞きできない?
 ハハ、生者の発想ですよ。もう目や耳の縛りはないのです。
 まあ、私も生きていた時には考えなかったでしょう」
 男は足を履く。
「……ふむ、なるほど。相当面白い所へ行ってきたようだ。これでこれからの旅路は退屈しなさそうです」
 ちょうどその時、待っていたバスがこちらへと向かってきた。
「お話に付き合いくださり、ありがとうございました」
 男は一礼する。
「私は歩いて逝きます。バスでは着かない所ですので」
 バスの進行とは逆の方向。
 ゆうゆうと歩く男の姿があった。
ファンタジー
公開:19/11/22 21:41

ルイス足永( 関東 ケヤキの葉の上 )

ルイス足永(アシナガ)と申します。
普段はニコニコ静画に画像付きの作品を転がしています。
こちらにも載せれそうな作品の投稿をしたいと思います。
twitter:https://twitter.com/otoshibumi57
ニコニコ静画:http://seiga.nicovideo.jp/clip/2497487

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