山猿傾斜軌道株式会社

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日本では、人間だけでなく山猿も高齢化が進んでいた。年老いた長寿猿は、足腰が弱く、自力で山を登り下りすることは難しい。
そこで、山を支配するボス猿は、ケーブルカー、ゴンドラ、ロープウェイーー山の斜面を移動するための乗り物を運行する「山猿傾斜軌道株式会社」を設立した。
長寿猿は挙って山猿傾斜軌道株式会社の乗り物を利用するようになり、赤ちゃん猿を抱えた母猿も乗客となったことで少子化対策にも貢献した。
ボス猿は、人間が地上と宇宙をケーブルでつなぐ「軌道エレベーター」を開発中との情報を入手した。
猿真似というとおり、模倣することが得意な山猿傾斜軌道株式会社のエンジニアは、モンキー先端科学技術大学院大学と連携し、人間が神奈川県藤沢市で運行している江の島エスカーをモデルに、山の頂上と宇宙を自動階段でつなぐ「軌道エスカレーター」の開発に着手した。
将来は、軌道エスカレーターで猿の惑星を行き来したい意向だ。
SF
公開:19/11/22 20:26
ケーブルカー ゴンドラ ロープウェイ 斜面 傾斜 少子高齢化 宇宙エレベーター 江の島エスカー

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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