不自由な木

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街中が見渡せる丘の上に、大人7人が手を広げればやっと囲めるほど太い木がすっくと立っている。

高校生のユウジは、学校の帰りにここへ来て、ただ木にもたれかかって、しばらくボーっとするのが日課になっている。

その日もユウジはやってきた。
ユウジのおじいさんが生まれた時には、もうこの大きさでこの木はあったらしい。

ユウジは木に向かって何やら話し始めた。

「まだ子どもなのはわかってるよ。」
「でも、不自由だし窮屈なんだよなぁ。」
「ここにじっとしてて不自由じゃない?」

ユウジにとって、この木は良い相談相手のようだ。

ユウジは、振り返って街を眺めた。

目を閉じて、大きく手を広げて、地面を強く蹴ってみた。
鳥になれるはずもなく、風になれる訳がなく…ストン…。

大きく息を吸って目を開けた。

「結局、僕は大球(おおたま)乗りのピエロ。」

明日もまたユウジはこの丘のこの木の下へやってくる。
青春
公開:19/11/26 12:55
更新:19/11/26 12:58

kaoru3737

小説とは...がそもそもわかってない私が、お誘いをうけてSSGに参加させていただくことに...。

拙い作品ですが、400字ほどのお時間をいただけるようでしたら、お読みいただき、ご意見・ご感想などをいただけますと幸いです。

[所属等]
◆全日本かくれんぼ協会 副会長
◆フリー(無料)DJ&MC
◆手話サークル代表
◆温泉ソムリエ
◆レターポット研究家

[趣味]
バンド(ドラム)、作詞作曲(ギター)、映画•美術鑑賞、手話、韓国語、英会話…etc.

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