つよがり

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東京行きのバスを待つ長い列の中、ギターケースを左手に持ち、右手でキャリーバッグを引くタツヤの横に、紺のコートに白いマフラー姿のナツミが1人列から外れて立っている。

「あなたの優しさが不自然だったから気づいてた」

電話では分かった風なことを言ってみせたナツミも、いざタツヤを見ると泣くことしかできないで居た。

「イヤだ…」

そのひと言すら言えない自分がただ悔しくて涙が止まらない。

「お前の笑顔を見てるのが幸せ」

そんな言葉が嬉しくて、毎日タツヤの隣では笑顔だったナツミ。

「泣いてばかりでごめんね。笑えない。」
「きっと帰ってきてね。待ってるから。」

そんなコトでも言えれば気持ちが軽くなるのに…

「さよなら。」

やっと絞り出した言葉も、搭乗のアナウンスに消された。

「目は口ほどにモノを言う」…昔、誰かがそう言った。

ナツミの気持ちは、一体どこまでタツヤに伝わったのだろう。
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公開:19/11/23 00:00

kaoru3737

小説とは...がそもそもわかってない私が、お誘いをうけてSSGに参加させていただくことに...。

拙い作品ですが、400字ほどのお時間をいただけるようでしたら、お読みいただき、ご意見・ご感想などをいただけますと幸いです。

[所属等]
◆全日本かくれんぼ協会 副会長
◆フリー(無料)DJ&MC
◆手話サークル代表
◆温泉ソムリエ
◆レターポット研究家

[趣味]
バンド(ドラム)、作詞作曲(ギター)、映画•美術鑑賞、手話、韓国語、英会話…etc.

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