目一杯の反抗

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小さくて一重の目。短く、すっかすかの睫毛。全部母譲りだ。鏡を見るたび、気分はどよーーん。隣の席の遼くんの方が睫毛がふさふさ長いなんて、絶望しかない。
中学進学を機に、私は睫毛増毛計画を開始。コスパの観点から、まつエクは見切って、つけまに手を出した。瞼に載せれば、おー別目!禁断の果実を口にしてしまった私は24時間、つけまを手放せなくなった。入浴中も就寝中も。
ケバい物使わないで、ご近所に恥ずかしいと干渉してくる母とは、誰のせいだよババア!と正面衝突。鉄壁なつけまがずれるほど、怒号が飛び交った。
ある日起きたら、目の周りがひりひりして、涙が止まらない。薬で何とか症状は抑えたが、つけまドクターストップが発令。地毛だけの睫毛はすうすうと風通しがいい。
放心する私に母は言った。「母さんの睫毛を移植してあげる。体質が似てれば、拒絶反応も起きないでしょ」
私は母を見た。私とそっくりの申し訳程度の睫毛を。
その他
公開:19/11/22 17:00
更新:19/11/22 19:31
スクー 付けっぱなしの反抗期

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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