お食事時には読まないで

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日曜の朝、俺は混んだ喫茶店のカウンター席に座っていた。注文した珈琲と熱々のバタートーストが運ばれてくると同時に、一人の老人が隣の席に座った。
斜めに足を組み、なぜか体をこっちに向ける。
俺は嫌な予感がした。
その途端、老人特有の咳込みが始まった。

「ゲホッ、ゴホッ、ゲホゲホッ…」

…まあ生理現象だ。仕方ない。
だがそんな俺を嘲笑うかのように、何の予兆も見せず彼は次のアクションに移った。

「ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ…」

姿勢はおろか顔さえも動かさず、彼は平然とその攻撃を完遂した。まだ手もつけていない俺のトーストの皿は、彼からわずか数10cmのところに置いたままだった。
呆然とする俺にとどめを刺すが如く、彼はポケットから何かを取り出し、おもむろに顔にあてた。

「ブーッ、ブッ、ブブーッ…」

後悔と敗北感にまみれた俺の横で、凌辱されたトーストが哀しく冷えていった。
その他
公開:19/11/23 13:23
半分実話 ほんとに困る

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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