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日曜の朝、俺は混んだ喫茶店のカウンター席に座っていた。注文した珈琲と熱々のバタートーストが運ばれてくると同時に、一人の老人が隣の席に座った。
斜めに足を組み、なぜか体をこっちに向ける。
俺は嫌な予感がした。
その途端、老人特有の咳込みが始まった。
「ゲホッ、ゴホッ、ゲホゲホッ…」
…まあ生理現象だ。仕方ない。
だがそんな俺を嘲笑うかのように、何の予兆も見せず彼は次のアクションに移った。
「ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ…」
姿勢はおろか顔さえも動かさず、彼は平然とその攻撃を完遂した。まだ手もつけていない俺のトーストの皿は、彼からわずか数10cmのところに置いたままだった。
呆然とする俺にとどめを刺すが如く、彼はポケットから何かを取り出し、おもむろに顔にあてた。
「ブーッ、ブッ、ブブーッ…」
後悔と敗北感にまみれた俺の横で、凌辱されたトーストが哀しく冷えていった。
斜めに足を組み、なぜか体をこっちに向ける。
俺は嫌な予感がした。
その途端、老人特有の咳込みが始まった。
「ゲホッ、ゴホッ、ゲホゲホッ…」
…まあ生理現象だ。仕方ない。
だがそんな俺を嘲笑うかのように、何の予兆も見せず彼は次のアクションに移った。
「ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ、ぇくしょーいっ…」
姿勢はおろか顔さえも動かさず、彼は平然とその攻撃を完遂した。まだ手もつけていない俺のトーストの皿は、彼からわずか数10cmのところに置いたままだった。
呆然とする俺にとどめを刺すが如く、彼はポケットから何かを取り出し、おもむろに顔にあてた。
「ブーッ、ブッ、ブブーッ…」
後悔と敗北感にまみれた俺の横で、凌辱されたトーストが哀しく冷えていった。
その他
公開:19/11/23 13:23
半分実話
ほんとに困る
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)
【近況】
第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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