逃げるコオロギ

8
5

家の中に一匹のコオロギが紛れ込んだ。
浩平はこのコオロギを捕まえて、外に逃がしてやろうと思った。
ところがコオロギのほうは捕まれば食われると思い込んでいるから、そうやすやすとは捕まるまいとぴょんぴょん跳び回る。
手で直接捕まえるのは難しいぞと思った浩平は、使い古したワイシャツを手に取った。
えい、とコオロギの上に覆い被さるようにワイシャツを放る。
床とワイシャツの間に挟まれたコオロギは、得意のジャンプもできなくなってしまった。
浩平はくるんだワイシャツを持って玄関から出た。
すると、ちょうど隣りの家に住んでいる夏帆が出てきたところだった。
夏帆は何をしているんだろうと浩平を見つめる。
浩平はコオロギを逃がしてやったが、夏帆があんまり美人なものだからすっかり見惚れてしまった。
コオロギは二度と捕まるものかと身を隠そうとし、再び浩平の部屋の中へと飛び跳ねていった。
夏帆はクスッと微笑んだ。
恋愛
公開:19/11/22 23:31

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容